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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第17章 「花は蒼に濡れる**」


しばらくして、喉にかすかな渇きを覚える。
 

(……水、飲みたい)

 
動くときっと、先生を起こしてしまう。
それがなんだか惜しくて、指を抜くのにも少し時間がかかった。

 

そろりと抜け出すと、寝具がほんの少しだけ揺れた。
ひんやりとした空気が肌をなぞって、私は思わず身を縮める。

 
(……あ、昨日あのまま寝ちゃったから……何も着てない)

 
慌てて布団の端を引き寄せながら、胸元を隠す。
辺りを見回すと、寝室の椅子の背に先生の白いTシャツがかかっていた。

 
(ちょっとだけ、借りちゃお)

 
声には出さず、でも心の中で小さく断ってから首を通す。
ぶかぶかのシャツは肩をゆるく包み、お尻のあたりまでをすっぽり隠してくれた。


足元に落ちたふたりの制服を踏まないよう、そっと抜け出して寝室をあとにした。

 
マンションのキッチンは、まだ薄暗いままで。
冷蔵庫の中からペットボトルの水を一本取り出し、蓋を静かにひねる。

 
口をつけて、一口。
冷たい水が喉をすべり落ちていくと、ようやく少しだけ体が目を覚ました気がした。

 
水を持ったまま、私はリビングの窓際へと足を運ぶ。
ガラスの向こうでは、都会の空がうっすらと白み始めている。


大きな窓に映った自分の姿が、なんだかいつもより大人に見えた。
 

(少しは、大人になれた……のかな)


視線がゆっくりと首元に落ちたとき――


(……え?)

 
鎖骨の少し上に、小さく、でもはっきりとした朱。
指先でそっと触れてみると、
 

(これ……)
 

思い出すのは、強く抱き寄せられた肩。
口づけが何度も、執拗に降り注いだ首筋。
 

(……“いい感じ”って……)

 
そうだ。
途中で先生が、そんなことを囁いていた。
どこか愉しげに、でも確かな欲が滲んだ声で。
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