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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第17章 「花は蒼に濡れる**」


***


窓の向こうが、少しずつ明るくなっていく気配がした。


うっすらと瞼を開けると、カーテンの隙間から差し込む光がまだ青くて淡い。


(……もう、朝……?)

 
隣を見ると、先生が乱れたシーツの上に片腕をゆるく投げ出して眠っている。


布団の隙間からのぞく鎖骨のライン。
呼吸に合わせて静かに上下する胸。
かすかに眉間の力が抜けた寝顔は、あまりにも穏やかで、驚くほど無防備だった。


(……寝顔、なんか可愛いかも)


あの強くて、ふざけてばかりで、誰にも隙なんて見せない人が――
今は私の隣で、こんなに静かに眠ってる。

 
私はそっと布団の中で身体を動かす。
脚を引き寄せると、まだ奥のほうが少し痛んだ。
けれど、その痛みさえも、なぜか愛しくて。


(……わたし、ほんとに……)
 

あのとき先生の腕の中で、何度も名前を呼ばれて。
何度も求められて。
気づけば、自分でも知らない声を何度もあげていた。


眠っているその頬にそっと指を這わせる。
昨夜、何度も触れられた場所に今度は私の指先がそっと触れ返す。


「……先生、好き」


 
起こしたくなくて、小さな声で呟いた。
けれど先生は目を開けず、代わりに私の手を探すようにゆるく握ってきた。


(起きてる?)

 
そう思ったけれど、先生はそのまま、また動かなくなった。
ただ、その手のひらが私の指をあたたかく、包み込んでくる。
まるで、夢の中でもわたしを離さないって――そう言ってるみたいで。

 
私は先生の腕の中に、もう一度そっと身を委ねる。
この時間がずっと終わらなければいいのにと、そう願いながら。
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