第17章 「花は蒼に濡れる**」
「抑えきかなくなる……っ」
語尾がわずかに掠れて、彼の腰がほんの少しだけ揺れた。
(……っ、先生……)
目が合う。
ふだんの余裕はどこかに消えていて。
そこには私をどうしようもなく欲しがる、あの目だけがあった。
先生は少しだけ動きを止めて、私の額にそっと触れる。
目尻に、頬に、優しく唇が触れては離れ、そのキスが恐怖を拭っていくみたいで……
こわばっていた身体から、ふっと力が抜けていく。
けれど、その一瞬の隙を逃さなかったみたいに先生の腰が深く沈み込んでくる。
「……っ、あ――!」
喉の奥から声が洩れた。
先生のものが一番深いところまで突き上げてきた。
さっきまでの痛みとはちがう。
だけど……どこか、熱い。
自分の奥が知らない熱に包まれていく。
そんな感覚だった。
「全部入ったよ……大丈夫?」
そう問いかけられても、私はこくりと小さく頷くことしかできなかった。
身体が先生を受け入れている。
痛みはまだ少し残ってるけど、それよりも……ちゃんと繋がったということのほうが胸をじんとあたためた。
(先生が私の中に、入ってる……)
肌が触れて、息が重なって、“先生と一つになってる”って。
そんな実感が徐々に私の中に満ちていった。
そっと目を閉じて、先生の胸に頬を寄せる。
深く、ゆっくりと息を吐いた。
体に残る圧迫感にはまだなれないが、どこか安堵したような気持ちで体の力を抜いた、その時――
「……動くよ?」
先生の声が耳に届いた。
(――え?)
思わず目を見開いた。
(うそ、うそ……まだ、あるの……?)
「せんせ……っ、まっ――」
そう言いかけたときには、もう遅かった。
先生の腰が深く沈み込み、前後に奥を擦り上げるように動いた。
「ん……っ!」
突然走った刺激に背中が跳ねる。
先生のものが中で擦れる感覚。
最初はただ、張り裂けそうで、軋むだけだったのに――
次第に、そこに「なにか」が芽生えていく。