第17章 「花は蒼に濡れる**」
(……っ、痛っ……)
ぐ、っと押し込まれる。
まだほんの入り口――それだけなのに、まるで身体の中心をこじ開けられているような感覚。
息ができない。
自分の身体なのにどうにもできない。
壊れちゃいそう……本気で、そう思った。
痛みで涙がじわりと滲む。
気づかれたくなくて、ぎゅっと目を閉じようとしても、
瞼の隙間から零れていく。
先生もそれに気づいたのか、すぐに動きを止めた。
「痛い?」
そう言って、私の頬に触れた先生の手が涙を拭う。
その指が熱くて、優しくて、それが余計に胸に迫った。
私は小さく首を振った。
痛くない、って伝えたかったのに。
……でも、顔はきっと、うまく笑えていなかった。
そんな私の様子を見て、先生は一度中から抜こうとする。
(――やだ)
その瞬間、反射的に手が伸びていた。
先生の腕を掴み、必死に首を振る。
「……やっ、まだ……抜かないで……」
言葉が震えた。
それでも、言わずにはいられなかった。
「……痛いの、がまんするから……っ……奥まで……先生の欲しいの……」
羞恥で顔が熱い。
でも、気持ちは本物だった。
先生は驚いたように一瞬だけ目を見開いて、
「、そういうの……僕以外に言っちゃだめだよ」
掠れた声だった。
でも、どこか愛しげで、苦しげで、熱を帯びていた。
「ゆっくり、入れるから……」
そう言いながら、片手は私の腰の下に回り、
もう片方の手でそっと太腿を持ち上げられる。
柔らかな重みとともに、奥へゆっくりと慎重に沈み込んでいく。
(……ん、く……っ)
無意識に眉が寄った。
先生のものが奥へと進むたびに、逃げ場のない圧迫感がじわじわと広がってくる。
「……」
名前を呼ばれても、返事ができない。
唇を噛んでどうにか堪えるしかなかった。
シーツを掴んでいた手に力がこもる。
指先が震えながら、ぐしゃと皺を作った。
「……きつ……っ……」
「力、抜いて。……そんなに締めたら」
普段滅多に見ない、わずかに早い呼吸。