第17章 「花は蒼に濡れる**」
熱が波のように身体中にぶわっと広がる。
思考がとけて、言葉にならない声が漏れる。
「……やだ、やだ……っ、なんか、変、なる……っ」
足がひくついて、背中がのけぞる。
さらに中の動きが深く、外はすこし強くなぞられて――
(……っ、だめ……こんな、同時にされたら……っ)
気づけば、枕の縁を掴んでいた。
爪が食い込むほど強く、ぎゅっと。
どこかにつかまっていないと、この感覚に溺れてしまいそうで……
(あ……あ……また……あれ、きちゃう……っ)
耳元で、低く甘やかな声が落ちる。
「ほら、イけっ、」
そう言って、最後のひと押しのように敏感な一点を擦り上げた瞬間――
「っ、あ……っ、や、あぁ……!」
全身がびくんと大きく跳ねた。
甘くて熱い波が一気に全身にひろがっていく。
恥ずかしさも、戸惑いも、何もかも飲み込んで、ただその波に身を委ねるしかなかった。
身体が熱くて、苦しくて、どうしようもなくて。
「……っ、は、ぁ……っ……」
全身がふわふわして、もう力が入らなかった。
熱がまだお腹の奥に残っていて、さっきの波がじんわりと何度も何度もからだを撫でていく。
そんな私にそっと、先生の手が額に触れる。
前髪を少しかきあげ、額にかいた汗を拭ってくれた。
「……とろけちゃって、可愛い」
熱がまだ引ききらない頭に先生の声が響く。
ぼんやりとした思考のまま、返事もできずに瞬きを繰り返す。
視界の隅でシャツの裾がめくれる音がして、シーツに落ちる気配が伝わった。
先生も服を脱いだんだ。
それだけで、また心臓がひとつ跳ねる。
視線を上げると、先生の身体が目の前にあった。
広い肩。
しなやかで無駄のない腕。
けれど、細いわけじゃない。
動けば、ちゃんと筋肉の線が浮かび上がって見える。
鍛えられてるのに、どこか芸術的で――
それが、余計に目を離せなかった。
胸のあたりに視線が落ちる。
盛り上がった胸筋はしなやかに隆起していて、
その輪郭が呼吸に合わせて、ゆっくりと上下する。
張りのある肌の下に、熱を孕んだ力強さが滲んでいて……