第39章 心は運命も本能も飛び越える✿保科宗四郎✿裏
どのくらいか経ち、やっと腕から解放された私は、少し距離を取って地面に座る。地面の冷たさが、ゆっくりと火照った身体を冷やしていった。
知りたくなかった。この身体の卑しい部分。ずっと劣勢でありたかった。そうすれば、普通の人間として生きられたはずなのに。
「……今まで、休んでなかったよな。ヒートの時、どうしとったんや」
「……私は、劣勢です。……なんとなく気付いていたんです。保科副隊長には近付いてはいけないと……すみません」
副隊長は頭を抱えながら、長い溜め息を吐いた。失望させてしまった。
私はもう、誰とも番うことが出来ないだろう。元々番を作る気はなかったけど、覚醒してしまったのなら別だ。だが、運命がそこにいるとわかっているのに、他の誰かと番うなど……。
震える足に力を入れて立ち上がった。
「……荷物、まとめます」
「まだどうなるかわからん。もう少し休んだら、隊長室行くで」
副隊長が一瞬、こちらを見た。私の存在など、頭から消したようにベルトを外して、中に手を入れる。私のせいで……慌てて副隊長に背を向け、風が運ぶ甘い香りに膝をつく。
粘着質な水音と熱い息遣いだけが、私たちの空気を支配した。また……地面に手をつき必死に耐えていると、汗や涙、唾液などがポタポタと零れ落ちていく。私もしたい……だけど、こんなとこでするわけにはいかない。
すでに下着が湿っているのはわかっている。隊服まで染み込んでいる可能性だってある。だけど、私がまた性を出してしまえば、取り返しが付かない。項を守っているわけでもないのだから。