第39章 心は運命も本能も飛び越える✿保科宗四郎✿裏
終わった。すぐに除隊命令が下るだろう。Ωだとバレてしまった。例え誰かと番ったとしても、定期的にくるヒートのせいで、訓練はおろか、討伐にも支障が出てしまう。私は今、Ωとして覚醒してしまった。
「……っ、保科!とりあえず、後で話そう!私たちはここから離れる…!」
亜白隊長はみんなを連れ、中庭を後にした。自身の腕を噛んだままの副隊長の指を伝って、温かい液体がポタポタと胸に落ちていく。
「ふ、副隊長っ!もうやめてください!血が…!」
「……抑制剤、はよ飲め。……ないとは言わんよな?」
抱き締められた状態ですぐにポケットから錠剤を取り出す。口の中に放り込み、無理やり飲み込んだ。
「はぁ……胸、ポケット……取って……」
腕から歯を離してもなお、私の首の後ろできつく手を結んでいた。言われた通り胸ポケットに手を入れて錠剤を取り出し、副隊長の口に入れる。
お互いの呼吸は少しずつ落ち着いていくが、こんなものが運命に勝るわけもない。一緒にいられない。早くこの場を離れなければいけないのに、副隊長の腕がそれを許さなかった。私も離れたくなかった。