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魅惑の恋【短編集】

第39章 心は運命も本能も飛び越える✿保科宗四郎✿裏


一瞬にして周りの空気が変わった。βであろう日比野さんですら、動揺している。私は劣勢のはずなのに……あぁ、そうか。この人が私の運命――

身体が震え、力が入らなくなる。奥が疼いて仕方ない。耐えられずにその場に座り込むと、副隊長も一緒に膝をついた。伐虎はすぐに副隊長から離れ、亜白隊長の前に立つ。

副隊長の熱い息が首筋にかかり、頭が溶けそうだった。

誰も一言も喋らない。亜白隊長は鼻を押さえ、その場に留まる。日比野さんも混乱しながら、その場から動かなかった。他のαたちが息を飲みながら1歩踏み出した。

「……来んなっ」

喉から絞り出したような苦しそうな声。その声を発したのは保科副隊長。肩を掴んでいた指を滑らせ、痛いくらいに抱き締められる。

副隊長の威圧にみんな、足を止める。亜白隊長だけは威圧が効いていないようだが、理性と目の前の伐虎によって、近付くことはない。

身体が熱い。おかしくなりそう……このαに噛まれたい。

ラット状態に入った副隊長が自身の腕を噛んで、本能を押さえ込んでいるようだ。苦しませてしまっている。

抑えたいのに、副隊長から香る、甘く誘う香りに、何もかもが崩れていく。意味もなく涙が零れ、荒くなった呼吸をしながら、必死に彼にしがみついた。

ジリッ……と誰かがもう1歩を踏み出す音。

「っ!来んな言うたやろ!!僕のもんや!……っ、僕のΩや。誰にも渡さんっ!!」

副隊長から発せられる甘い香りがより一層強くなり、包まれていく。私のフェロモンが副隊長のフェロモンに覆われて、少しずつみんなが理性を取り戻していった。
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