第4章 1歩ずつ
響也side
少しだけ千明の顔を見ようと部屋を覗く。
ぐっすり眠っているようだ。
起こさないように部屋に入り、ベッドに腰をかける。
今日は魘されていないみたいだ。
そっと頬を撫でる。
「ぅん…あれ、さの?おかえり。」
「悪い、起こしたな。」
「ううん、お疲れ様。」
そう言って頬を撫でる俺の手を握り、スリスリと自分の頬を擦る。
猫みたいだ。
「飯、いつもありがとな。美味しかったよ。」
「よかった。……なぁ。」
「ん?」
眠そうな目で俺を見上げてくる。
そして誘うかのような表情と声で
「キス、しねぇの?」
千明から初めて誘われた。
付き合ってもいないのにいいのか?
そもそも千明は俺の事好きなのかわからない。
あれからまだ応えも聞けてない。
それでもコイツは俺にキスされても嫌じゃないのか?
正直、最近話せていなかったから寂しくはあった。
それでも敢えてスキンシップをとらないようにしていた。
そうじゃないときっと止まらなくなるから。
「いいのか?」
「うん。」
その言葉を聞き、俺は千明にがっつくようにキスをしてしまった。
千明と指を絡め、深く長いキスをした。
口から互いの息が漏れる。
今までの距離を埋めるかのように求め合った。
「んぅん…はぁ//」
「千明、好きだ。」
「うん…知ってる//」
「好き」だとは言ってくれない。
それが今の千明の応えなんだろう。
それでも構わない。
遅くてもいい。
いつかちゃんとした応えが返ってくれば俺はそれでいい。
例えそれが望む応えじゃなかったとしても。