第4章 1歩ずつ
響也side
台所からいい匂いがしてきて目が覚める。
腕の中にいた千明がいない。
昨夜も千明は魘されていた。
少しでも落ち着けるようにと抱きしめてそのまま俺も寝落ちしてしまったようだ。
「おはよう。千明、早いな。」
「おはよ。顔洗ってきなよ。遅刻するよ?」
懐かしい。
優もよくこうやって朝ごはんを準備してくれていたっけな。
『あ!やっと起きた!もう遅刻するよ?』
「佐野?どうしたの?」
「いや、何でもない。」
千明の事はもちろん好きだ。
ただ、最近は以前よりも優と千明を重ねてしまうようになった。
こんなの千明が知ったら落ち込むだろうな。
朝食を済ませ、仕事に行く準備をする。
「じゃあ、行ってくる。何かあったらすぐ電話しろよ?」
「うん、行ってらっしゃい。あとこれ、お弁当。」
千明が玄関先で渡してくれた。
「やっぱ寂しくなるからさ。腹減ったら食べてよ。」
「ありがとう。」