第43章 裏切りの擬装
思いのほか実直な言葉に、思わず顔に熱がこもる。
椛「…そうですか。」
そんな表情を見られたくなくて、顔を外に向けて逸らした。
まぁ、彼女の心理など沖矢にはお見通しだろうが…
沖矢「だが、彼の言い分は正しい…」
椛「?」
沖矢「椛はやはり、あの女には出来るだけ関わるな。」
椛「えっ?」
沖矢「あの女に目をつけられて良いことは、一つもないぞ。」
声は沖矢だが、その言葉には変声機を使っていても重みがあった。
特に反論する様な理由も無いため、そのまま素直に頷く。
椛「…分かったわ。」
無事家まで送ってもらい、玄関を抜けてリビングに入ると時間を確認した。
夕飯時に近いが、なんとなくあまり食事をする気分になれなかった。
先ほどの様子だと、今夜降谷がここに来ることはないだろう。
椛(ゆっくりお風呂に入って、今日はさっさと寝ますかね。)
少しずつ…
そして確実に今まで立ち入らなかった世界に、足を踏み込み続けている。
そんな事、協力者の件を引き受けた時点で百も承知だったが…
彼女の日常は、数カ月前には想像を超える以上に激変してる。
良くも悪くも、そのことを本人はあまり気にしていないが…
車の中での沖矢の忠告が、現実のものになるのは…
もう少し先の話。