第43章 裏切りの擬装
椛「そうでしたか…
何か急ぎの確認か、用か何かですか?」
安室「いえ、特にそんな事は無いのですが…」
椛「そう…」
一瞬の沈黙が、2人をを包む…
安室「今日はまだ帰れないので、会いにはいけないのですが…」
言葉を選ぶように、間を置いてから…
安室「どうしても声が聞きたくて…」
切なそうにつぶやく安室の声に、胸の奥がキュッと反応する。
忙しい中仕事の合間でも、素直に本心を打ち明けてくれる彼に、いつも救われる心地がしていた。
椛「私も、今夜は流石にもう会えないと思っていたけど…
安室さんの声が寝る前に聞けて、安心しました。
おかげで良い夢が見れそうです。」
受話器の向こうで…
一瞬、音が途切れる。
彼が、息を吸い込む息遣いが聞こえた気がした。
そして今はきっと車の運転中なのだろう。
微かにエンジン音が電話越しに聞こえる。
安室「……本当にもう…」
その声は、仕事中の“安室”のままなのに、どこか抑えきれていない熱を帯びていた。
安室「そんなことを言われると……
今すぐ、椛さんの元に帰りたくなってしまう。
……困りますね…」
電話越しに、眉毛を少しだけ下げながら、苦笑している彼の姿が目に浮かんだ。