第30章 【人ならざる者】
ヴォルデモートは足を組みながら頬杖を突くと、まるで玉座に座った王様のようにハリー達を見下ろした。
「来たか、我が宿敵ハリー・ポッター」
ヴォルデモートは杖を指でもてあそびながら、その美しい唇でニヤリと笑った。
――漸く舞台が整った。今度こそ完全にポッターを殺し、魔法界に絶望を与えてやろう。そして歯向かう愚か者は、精霊の力を以って粛清する。そう、これから始まるのはその為の第一歩だ。
「――クリスの体、返してもらうぞ!ヴォルデモート!!」
「小癪な、この体は既に俺様の物だ。それよりも後ろにいる木っ端どもは何だ?介添え人にしては数が多いが……まあ良い、折角だ。最高のショーを見せてやろう」
そう言うと、ヴォルデモートは召喚の杖を構えた。と同時に、ハリー達も杖を構えて臨戦態勢に入る。
宿敵ヴォルデモートを前に、ハリーの体が強張った。相手はダンブルドアさえ手に負えなかった人物だ。もし召喚の際に出鼻をくじいてやろうと杖をふり上げた途端、反撃される可能性も大いに考えられる。
ハリーは誰一人犠牲が出ない様に、緊張の糸を緩みなくピンと張った。
「 終わりなき暗黒の淵を旅するものよ 」
ついに詠唱が始まると、クリスと同じようにヴォルデモートの足元に黒い魔法陣が現れた。
叩くなら今だと頭では分かっていても、ハリー達4人は、まるでこの世のものとは思えない恐怖によって全身が強張り、動かしたくても指1本動かすことが出来なかった。
ヴォルデモートはそれに気付くと、まるでいつものクリスの様に、赤い唇をニヤリと弓なりに曲げた。