第29章 【帰らぬ人】
その時、廊下の奥の方からハーマイオニーの名前を叫ぶ声が聞こえて来た。
「ハーマイオニー!ハーマイオニー!!」
何があったのか、随分慌てた様子でジニーがやって来た。一瞬、ロンの身に何かがあったのかと、嫌な予感で背筋がぞわっとしたが、どうやらそうではないらしい。
「ハーマイオニー、大変なの!ルーピン先生が、ルーピン先生がっ……!!」
「ルーピン先生の身に何かあったの?」
「いいから、とにかく来て!!」
腕を引っ張られるままついて行くと、そこは遺体の並ぶ校庭だった。ハーマイオニーの脳裏に嫌な予想が巡る。
所々で松明が焚かれ、遺体の影が見え隠れしている隙間を縫うように歩いていると、心臓が押しつぶされそうな気分になった。
ジニーの後をついて行く途中で、ラベンダーの顔を赤く染まったハンカチで拭いているパーバティの姿が目に入った。
その瞬間、全てを悟ったハーマイオニーは愕然として膝から崩れ落ちてしまった。
「ラベンダーが、まさか……そんな……」
「……ねえ、ハーマイオニー。ラベンダーの顔を見て。綺麗でしょう?ラベンダーはおしゃれが好きだったから、せめて顔だけは綺麗にしてあげたくて……」
そこから先は、2人とも声が出なくなった。代わりに、大粒の涙が幾度となく頬を伝い流れ落ちた。
何がヴォルデモートだ、何が純血主義だ、やっている事はただの大量殺戮ではないか!!
ハーマイオニーは下唇を噛むと、握りしめた拳が小刻みに震えた。
「ハーマイオニー……良い?」
ジニーに寄りかかりながら校庭を歩くと、そこにはDAメンバーが数人立ち尽くしていた。誰も彼もが暗い表情をしている。
嫌な予感がしつつも人垣の間を覗くと、そこには静かに眠るルーピン先生が居た。それを見た瞬間、ハーマイオニーは頭が真っ白になった。