第28章 【美しき獣】
「ま、まさか……何でお前のようなヤツが!!?」
ネビルが組み分け帽子から取り出したもの、それは贋作などではなく、本物のグリフィンドールの剣だった。
それを見たベラトリックスだけでなく、ロンもテンションが上がって、ネビルに向かって小気味良い口笛を吹いた。
「流石!やるじゃん、ネビル!!」
交戦中のロンとベラトリックスも、ナギニの死を目の当たりにし、一旦膠着状態になった。
それだけではなく、フォークスの涙によってドラコの怪我も治り、戦闘は3対1になった。これで勝負が決まる。――と思ったその時だった。
「ナギニ……?まさかナギニが殺されるとは……!?」
「我が君!!」
「えっ……クリス?」
それは見間違えるはずもない、漆黒の髪に紅い瞳、そして彫刻の様に美しい顔立ちをしたクリスが、ナギニの亡骸を前に膝を着いた。
そんなクリスに向かって、ロンは訝しみながらも近づこうとしたが、ドラコが素早くそれを止めた。
「待て、ウィーズリー。こいつは本物のクリスじゃない!!」
「ん?どこぞの小僧かと思えばマルフォイ家の嫡男じゃないか。いや、もう嫡男ではなく、両親を犠牲に当主に成りあがったんだったか?」
「煩い!そんな事よりもクリスをどうした!?」
ドラコが嚙みつく様に問いかけると、クリスは声高々に笑って見せた。
「くくく、ははは……はぁーーっはっはっはっは!!!どうしただと?お前には分からんのか?この体は最早クリス・グレインの物ではなく、このヴォルデモート卿の物となったのだ!!」
「そんな……まさか!?」
「信じられぬなら試して見せようか?――出でよサラマンダー!」
クリスの……いや、ヴォルデモートの声に合わせて、赤い魔法陣からサラマンダーが現れた。狂暴化したサラマンダーが3人を睨みつけた、正にその瞬間――なんと何処からともなくハリーが姿を現した!
これには流石のヴォルデモートも虚を突かれ、目を見開いた。そしてその一瞬の内に、ハリーを含めロン達3人もその場から姿を消した。