第26章 事変
真人と与幸吉との戦闘から時間を置いた一週間後。
私は、夏油と接触をした。
山梨へ単独任務と言う情報は与幸吉から前々から貰っている。
彼女がどのくらいまで術式を理解しているかをこの目で見たかった。
正直、驚いた。
ここまで成長していたとは。
まだ自分のものにできていないように見えるが、それも時間の問題だろう。
もし、本番までに"アレ"を使えるようになったら計画が台無しだ。
だがそれもそれでおもしろいかもしれない。
喉奥から零れそうになる笑い声を必死に抑え、私は彼女の後を追い、お土産を見ている彼女の肩に手を置いた。
「やぁ、久しぶりだね」
死んだはずの人間が目の前に現れたことで、彼女は大きく目を見開き言葉を失う。
「お、にい……ちゃん?」
絞り出した声は掠れていて、目の前の光景を必死に否定しようとする表情が見てとれた。
はは、いい表情をするじゃないか。
はくはくと口を動かす事しかできない彼女に私は優しく笑いかけ、「少しお茶でもしないかい」と彼女の手を引いて喫茶店の中へと入った。
コーヒーを2つ頼んでいる間も一言も話さない彼女はただテーブルを見つめているだけ。
一生懸命考えているのだろう。
目の前の私が"本物"か"偽物"か。
君はどっちを選ぶんだろうね。