第26章 事変
その後、私たちは東京へ戻る新幹線までの余った時間自由行動をし始める。
自由行動、と言っても4人で仲良く食べ歩きをしているだけだけど。
八ツ橋を食べたりにしんそばを食べたり。
そんなことをしながら時間を潰した。
東京に戻ればすでに悟は歌姫先生からメカ丸の事を聞いていたらしく、「あとはこっちに任せて」と言われた。
これ以上私達にできることはないのかもしれない。
それから一週間後。
私は単独任務で山梨のほうへ飛ばされていた。
任務は思ったよりスムーズに終わり、私は補助監督の人に許可を取り山梨のお土産を買うために街をプラプラしていた。
お土産買わないと野薔薇も悟もうるさいからな。
何がいいかなと考えながら歩いていると、いきなり後ろから肩を叩かれびくりと跳ねた。
一瞬驚いたけど、これナンパか?
はぁ、とため息を吐いて文句の一つでも言ってやろうかと振り向いた瞬間。
私は別の意味で言葉を失った。
「やぁ、久しぶりだね」
五条袈裟を着て額に傷のあるお団子頭をした男性が私の名前を呼んでにこりと笑った。
「お、にい……ちゃん?」
驚きで声が掠れる。
嘘だ、なんで。
だって、お兄ちゃんは悟に殺され……、どういうことだ。
脳内がぐるぐると回るが、答えなんて出てこない。
喉が締め付けられて音として声に出なくて。
そんな私を見たお兄ちゃんは困ったように笑う、「少しお茶でもしないかい」と私の手を引いた。
その手は温かくて優しくて、あの頃のお兄ちゃんのままで。
だからこそ余計に困惑をした。
殺されたって聞いたのに、死んだって聞いたのに。
どうしてここに……。