第26章 事変
メカ丸こと与幸吉の術式は傀儡操術。
傀儡の操作範囲は天与呪縛の力で日本全土に及ぶ。
登録していない傀儡があれば内通者としての仕事はいくらでもこなすことができる。
「確かに。ハエや蚊みたいに小さいと気づかねえもんな」
「そういうのもアリなんだ」
ひそひそと小さな声で会話をしている間に、与幸吉がいる部屋へと辿り着いた。
虎杖が扉をぶち破る。
が、そこには誰の姿もなくもぬけの殻だった。
「やられたわね」
「でもこれではっきりしたな」
「メカ丸で確定よね、これ」
「ああ」
メカ丸が内通者だった。
その事実に歌姫先生は大きく重たいため息を一つ零した。
与幸吉が今どこにいるのかは分からない。
歌姫先生はスマホを取り出してメカ丸の捜索をするように願い出た。
あとは補助監督や窓の仕事。
私達にできることはもうない。
「悪かったわね、ここまで来てくれたのに」
「いえ……。あの、歌姫先生は……大丈夫、ですか?」
生徒に裏切られた彼女の精神状態が私は心配だった。
それでも先生は優しく笑顔を向けて。
「裏切られるのは慣れてるから」
と、ぽつりと呟いた。
その言葉に、彼女が頭の中で思い浮かべる人物が一体誰なのかわかってしまって、ぎゅっと拳を握りしめた。