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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第25章 懐玉








「俺が救えるのは、他人に救われる準備がある奴だけだ」

弱い奴は救いを必要としてるけど、傑はそんな事言わなかった。
自ら堕ちることで自らを救おうとしている。
茨の道を選んで、甘い夢は幻想だと捨てて、俺の声は届かなかった。
俺は何でもできるしガキだから、善悪の指針を傑に委ねていて。
あの時、オマエが「殺せ」って言ったら俺は殺していたよ。
でも、そう言わなかったのは、俺を守るためだったんだろ。
その癖、自分の事は守らせてくれない。

「悟、謝りたいことがある」

いきなりそんなことを言う夜蛾先生。
俺、先生に謝られるようなことした?
意味がわかんねえんだけど。
そう思っていたら先生は言った。

傑のことで謝りたいと。
先生は気が付いていた、傑の異変に。
その時も傑は「大丈夫です、夏バテです」と嘘を言っていたらしい。
その嘘を先生は気づいていた。
取り繕ったその場しのぎの言葉に、張り付けられた薄っぺらい笑みに、嘘だとわかっていながら知らないふりを騙されたふりをした。
傑なら大丈夫だと、根拠のないレッテルを貼った。
大丈夫なわけがなかったのに。
大人顔負けの冷静沈着さを持っていても、強さを持っていたとしても、傑はまだ学生で子供なんだと。
夜蛾先生が自分の間違いに気が付いたのは、傑が離反してすぐのこと。
ああ、だから先生は俺の所に来たのか。
そのことを謝るために。

「すまなかった、悟。オマエまで苦しませてしまった」
「……謝んないでよ、先生」

俺は先生が悪いなんて微塵も思っていない。
むしろ、気付かなかった俺よりは全然マシ。
俺は何も気づかなかったんだから。

「もう、この話はおしまい。俺もいろいろやんなきゃいけないことあるしさ」

そう言って、俺は漸く階段から腰を上げた。
鉛のように体は重かったけど、何でもないように振る舞って、俺は自分の部屋へと戻った。




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