第25章 懐玉
その後、どうやって高専に戻ったかは覚えていない。
気付いたらずっと階段に座ってただただ思考を巡らせていた。
俺は一体どうすればよかったのだろうか。
何も出てこなかった。
止める術も言葉もなにもかも。
一番近くにいたはずなのに。
俺は傑の事を何もわかっていなかった。
気付くことができなかった、何一つ。
親友だからこそ、何も言ってくれなかったのか。
なにも相談せずに勝手に決めてつけやがって。
相談されたとしても同じだったのだろうか。
無神経なこと言ってまた喧嘩したのだろうか。
で、今と同じ状況になってまたこんな風にらしくもなく悩んで。
だとしても、分かり合えなくても肯定なんてできなくても。
前みたいに喧嘩できる仲でいたかったって思うよ。
一緒に悩みたかったってそう思うよ。
親友だから。
たった一人の。
そんなことをずっと考えてたら、先生がやってきた。
「何故、追わなかった」
なんで追わなかっただって?
追えるわけないでしょうが。
わかってるくせに。
「先生、俺強いよね」
「あぁ。生意気にもな」
「でも、俺だけ強くても駄目らしいよ」
俺と傑"2人"で最強だったのに。