第25章 懐玉
「夏油様、起きて」
身体を揺さぶられ、ゆっくりと目を開ける。
私の顔を覗き込むように美々子と菜々子が私を見ていた。
「おはよう。美々子、菜々子」
「おはよう夏油様」
「ご飯の準備ができたよ」
「今日は2人が作ってくれたのかい?嬉しいね。冷めないうちに頂こうか」
ゆっくりと起き上がり、私は2人の頭を撫でる。
随分と懐かしい夢を見ていた。
私の憧れたあの影は今は何をしているのだろうね。
噂では教師になったと聞いたけど。
悟にはもったいない場所だと思うけど、それが君の本音だとしたら、私はそれを肯定しよう。
「美々子、菜々子。ご飯を食べたら少しだけ外に出てくるよ」
「またちゃんの様子を見に行くの、夏油様」
「ああ、そうだよ」
「そんなに心配なら、私達みたいに連れ出せばいいのに」
「その時になったら連れてくるよ。まだ約束を果たせてないからね」
一方的にした約束だけど。
彼女の笑顔が絶えない世界に成ったら、彼女を迎えに行く。
そう決めたんだ。
「夏油様ってシスコンだよね」
「美々子、その言葉どこで覚えてきたんだい」
「ラルゥが言ってた」
「あはは、後でラルゥに話をしなければいけないね」