第3章 受胎
「お前、何か企んでるのか」
「は?企むって何をだよ」
「あのバカを殺して、呪術界をめちゃくちゃにしようとか考えてんじゃねえだろうな」
「意味わかんねえよ。私があいつを殺したいのは私情だ、バカが」
ごすっと頭をまた殴られた。
また血が噴き出し、鼻からも血が出た。
これ以上出血したら私死ぬんじゃないだろうか。
「……夏油傑の妹だから、私も何かすると思ってるって事だよな、お前らは」
「そうだ」
「お前らは、犯罪者の身内が全員犯罪者になるって思ってんのかよ。今までどんな生活をしてきたかも考えねえで、犯罪者の身内だからって理由で、貶して罵ってこき下ろして!!どこまで人を追い詰めたら気がすむんだ!!」
私が一体何をしたと言うのか。
五条悟を殺そうとしていることに変わりないが、それでも、それまでの私は何一つ悪い事などしてこなかった。
だけど、世間の目は「犯罪者の妹」というそれだけの理由で、私をそういう目で見てきた。
「よく言うだろ、蛙の子は蛙って」
女の言葉に、私は頭に上っていた血がスッと引くのがわかった。
何だよそれ。
じゃあなにか。
犯罪者の身内は全員犯罪者って言いたいのか、こいつは。
「……だったら、お前はどうなんだよ」
「は?何が?」
「禪院真希だろ、お前。お前はどうなんだよ。相伝術式、受け継いでんのかよ。どうなんだ、答えろ」
禪院家。
呪術界御三家の一つである禪院家の子供が相伝術式を受け継いでいないということは、調べればすぐにわかった。