第3章 受胎
「なんだよ、兄になんかされたのか?その腹いせか?」
「おい、減らず口はそこまでだ。お前があのバカ目隠しを殺そうとしているのは知っている。あれでも死なれちゃ困る奴だ。このままお前を野放しにいておくわけにはいかない」
「だったら今すぐ殺してみせろよ。口先だけパンダちゃん」
「かっちーん。俺ムカついちゃったなあ!!」
掴まれていた腕を振り払い、私は持っていた鍵を床に差した。
「"破錠"」
左手を内側へと回せば、床がひび割れる。
足元が崩れた隙を狙い私は外へと飛び出す。
しかし。
「"動くな"」
その言葉と共に、私の体は固まったように動かなくなる。
くっそ。
呪言師がいんのかよ。
分が悪すぎだろ。
動かない私の頭を女は掴みそのまま床に叩きつけられた。
頭に衝撃が走る。
噴き出る血で視界が真っ赤に染まった。
そのまま背中に腕を回され体重をかけられる。
いつか五条悟に負けた時と同じ方法でやられるなんて。
つかこの女強すぎだろうが。
「………殺せよ。早く」
「そんなに死にたいなら殺してやるけど、いくつかお前に聞きたいことがあってな」
「はっ。遺言を聞いてくれるとか、なんて優しい人なんだろう。涙が出るね」
「生意気だな、お前」
ぐっと体重を更にかけられ、私の息は一瞬止まった。