第3章 受胎
そう思って廊下の角を曲がると、誰かにぶつかった。
バランスを崩し尻餅をつきそうになったが、その腕を取られる。
「ご、ごめん。大丈夫?」
鼻先を抑えて見上げると、そこには軟弱そうな男と眼鏡をかけた女と白髪の髪をした男とパンダがいた。
………なんでパンダがいるんだ。
この学校はパンダを飼育しているのか。
「なんだ、憂太。ナンパか?」
「ち、違うよ‼」
「パンダがしゃべってる。何の実を食べたんだよ」
パンダがしゃべるとは思わなかった。
変な実を食べた能力者かと思ったが、よく考えなくてもこいつは呪骸だ。
「こっちもぶつかってスイマセンでした。じゃあ、これで」
「ちょっと待てよ」
彼等の横を通り過ぎようとしたとき、私は女に腕を取られた。
痛えな、こいつ。
力強すぎ。ゴリラかよ。
痛みに顔を歪ませていると、女は私をきつく睨んできた。
「お前、夏油傑の妹だな」
ピリッとした空気が私たちの間にできたのを肌で感じる。
他の3人も私を睨んでいた。
にやりと不敵な笑みを零す。
「だったらなんだよ」
「なんでこんなところにいる」
「呪術師になるのにここにいちゃおかしいか」
「はっ。お前が呪術師?呪詛師の間違いじゃねえのか」
お互いにお互いを煽りまくる。
私も向こうの女もこめかみに青筋が浮き出ている。