第26章 事変
偽物は意気揚々と術式の事を教えてくれた。
脳を入れ替えれば肉体を転々とすることができると。
その上、肉体に刻まれた術式も使えるという。
「彼の呪霊操術とこの状況が欲しくてね。君さぁ、夏油傑の遺体の処理を家入硝子にさせなかったろ。変な所で気をつかうね。おかげで楽にこの肉体が手に入った」
「……………んな」
「心配しなくても封印はその内解くさ。100年……いや、1000年後かな」
「…………けんな」
「君、強すぎるんだよ。私の目的の邪魔なの」
「…………ざけんな」
小さく漏れる声は床にへたり込むのもの。
ぎゅうっと握り締めている拳は握りすぎて血が出ている。
身内がこんな目に遭って黙っていられるほど君は可愛い人間ではないか。
でも、もう少し我慢してくれるかい。
反撃のチャンスは、今じゃない。
「忘れたのか?僕に殺される前、その体は誰にボコられた?」
右腕を失う重傷を負わせたのは僕と並ぶほどの術師、乙骨憂太だ。
なんなら呪力量だけで言えばアイツの方が僕より多いんだよね。
「乙骨憂太か。私はあの子にそこまで魅力を感じないね。無条件の術式模倣。底なしの呪力。どちらも最愛の人の魂を抑留する縛りで成り立っていたに過ぎない。残念だけど、乙骨憂太は君になれないよ」
さぁ、それはどうだろうね。
僕の生徒は優秀だから、いずれ僕を超える存在になるかもしれないよ。
今まさに虎視眈々とオマエに攻撃をするチャンスを窺っている成長途中の術師がいるんだから。