第26章 事変
そうだった。
オマエは出会った時からそうだった。
どんな目に遭っても呪術師を辞めようとしなかった。
沢山泣いて、沢山落ち込んで、沢山笑った。
僕はそんな君を好きになったんだ。
………。
六眼が目の前の男を本物の傑だと言っている。
だからなんだ。
この眼に映るものが全て正しいと思うな。
「誰だよ、オマエ」
「夏油傑だよ。忘れたのかい?悲しいね」
忘れるわけがないだろ。
忘れるはずがないだろ。
たった一人の親友を。
だからこそ目の前のオマエは誰なんだ。
肉体も呪力もこの六眼に映る情報はオマエを夏油傑だと言っている。
でもそれは情報でしかない。
情報なんてあやふやで曖昧なものに、3年間の時間が塗りつぶされてたまるか。
「"俺"の魂がそれを否定してんだよ!!さっさと答えろ!!オマエは誰だ!!」
「キッショ」
そう言って男は額の縫い目を引いた。
「なんでわかるんだよ」
「………っ!!!!」
の目が大きく見開かれ、そして大粒の涙を流した。
それもそうだろう。
額の縫い目をほどき頭部の中身の脳を露にし、自らが偽者であることを明らかにしたんだから。
からしたらこれ以上ないほど絶望的で信じられないことだろう。
座り込んだまま、ただ静かに泣き続けている。
自分の兄が知らない誰かに乗っ取られこんな状況を作りだしているんだから。