第26章 事変
今すぐこの拘束を振りほどいて目の前の男を殺してやりたいのに。
呪力が感じられない。
体にも力が入らない。
……詰み、か……。
「、どういうことか説明してくれる?」
身動きもできない振り払う事もできないなら、せめて説明だけはしてもらおうじゃないか。
聞きたいこと、知りたいことが山ほどあるんだから。
なんでオマエがコイツといるのか。
僕を騙したのか。
呪詛師と繋がっていた内通者なのかどうなのか。
全て洗いざらい吐いてもらおう。
僕の問いに肩で息をしていたは顔を上げた。
眉を八の字に寄せて、今にも泣きそうな表情で。
「違う!!私は何も……!!」
「ありがとう。君の協力のおかげだよ」
「なっ……!!何言ってんの、お兄ちゃんが悟と仲直りしたいって言うから……」
「そう言っておびき寄せてくれたんだね。流石、私の妹だ」
「違う……、違う……」
何度も首を横に振って「違う」と言い続ける。
……成程、嵌められたのはも同じということか。
傑に会って思考回路が鈍ったんだろう。
馬鹿だな、少し考えれば分かるはずなのに。
「は私達に仲間だったんだよ。君を殺したいと言うからこちら側へと引き込んだんだ」
「嘘を言うな!!私はお兄ちゃんと同じ道になんか行かないって決めたんだ!!なんでそんな嘘つくの⁉なんで私との約束を破るの⁉」
悲痛なの叫びが静かなホーム内に反響する。
その言葉にハッとした。
学長と話をした時には絶対に傑と同じ道には行かないと言っていた。
復讐にまみれた人間を二度と生み出さないために呪術師になると。