第26章 事変
富士山頭はにニタニタと笑いながら近くにいた非術師の頭をもいだ。
そうすることで悟の動きを鈍らせようとしているのか。
「……正直驚いたよ」
「なんだ?言い訳か?」
「違ぇよハゲ」
悟はアイマスクに指をかけて下へと下げた。
蒼い瞳が怒りで染まっているのが分かり、私は少し後ずさってしまった。
「この程度で僕に勝てると思ってる脳みそに、驚いたって言ってんだよ」
逃げたくないって最初に決意しといてなんだけど、逃げたい。
多分これ、私がいたらダメな奴だ。
足手纏いかもしれない。
そこからは私はただただ悟の一方的な嬲る様子を見ているほかなかった。
基本的な呪力操作と体術のみで富士山頭の腕をもぎ取り、わざと無下限術式を解いて油断した花のやつを呼び寄せ、目から生えている枝を勢いよく引き抜いた。
その時の悟の顔は、狂気に満ちていて全身に鳥肌が立った。
富士山頭と初めて対峙したあの時とは比べ物にならないほど、五条悟と言う男の力は未知数だ。
甘かった、認識が。
「やっぱりな。展延と生得術式は同時には使えない」
息一つ乱すことなく、余裕なその表情に。
私は痛感した。
"足手纏いかもしれない"と思っていた私を殴ってやりたい。
確実に完璧に圧倒的に私は足手纏いで無力だ。