第26章 事変
「行こうか」
「うん」
副都心線の線路内に降りる私達の前にやはり特級はいた。
富士山頭のやつと目から枝が生えたやつ、そして無気力そうな顔をした男が一人。
誰だ、コイツ……。
見たことないけど、呪霊……で合ってるんだよな。
私は鍵を取り出し構えた。
「これで負けたら言い訳できないよ?」
「貴様こそ、初めての言い訳は考えてきたか?」
その時頭上の吹き抜けの部分が木の幹や枝で覆われ塞がれてしまった。
どうやら私たちを逃げられないようにするためらしい。
そんな事しなくたって私も悟も逃げたりなんかしない。
むしろ逃げたらここにいる人間が全員殺されてしまうに違いない。
「逃げたら……か。回答は」
富士山頭がにやりと笑った。
同時に転落防止のためのホームドアが開き、そこに寄りかかっていた人達や私達の事を見るために身体を乗り上げていた人たちが雪崩のように線路内に落ちてきた。
「逃げずとも、だ」
叫び声や混乱した声がホーム内に響き渡りパニックに陥る。
そのパニックに乗じて呪霊達は攻撃を仕掛けてきた。
血に染まる地下鉄内。
これ以上の犠牲を出さないために私にできることは……目の前の敵を倒すこと。
一般人を閉じこめる"帳"となると避難誘導したくても限界はあるし、なにより一人でそんなことできるはずもない。
ならば、早々にこいつらを祓わなければ。
私は鍵を取り出し、術式を発動させた。