第26章 事変
「本当はもう少し後にしようと思ってたんだけどさ」
長い間キスをしすぎたせいで若干唇が腫れている気がする。
そんなことを思っていたらぼそりと悟が呟いた。
どうやら、結婚の報告もプロポーズも計画を立てていたようだ。
なのにその計画を自らぶち壊したのはなんでだ。
「お見合いの話が来てさー、気付いたらこうなってたよね」
「確信犯じゃねえか」
「好きでもない女と一緒にいても疲れるだけでしょ」
「よく言うよ。好きな女いるくせに別の女抱いた男が」
「それは言わないでよ……。思い出すだけで心臓抉れそう」
顔を顰めて過去の自分を責める悟に私は思い切り笑った。
悟の弱みを握れてちょっと優越感に浸ってしまう。
「今はだけだよ。こんなに好きになったのもオマエだけ」
それは私も同じだ。
オマエ以上に好きになった男なんていない。
「悟」
「ん?」
「約束して」
「何を?」
「オマエは私が絶対に殺すから、絶対に死なないで。その後、私も死ぬから」
「分かった、約束するよ」
小指と小指を絡めて。
二人だけの約束。
柔らかな日差しの中、私と悟はお互いに抱きしめあって眠りについた。