第26章 事変
「悟、悟!!」
「なに?」
引っ張られていた腕を振りほどく。
向かい合う私達。
サングラスの奥の瞳と私の瞳がぶつかる。
「結婚って、なに……?意味わかんないから」
「そのままの意味だけど?高専を卒業したら結婚する予定」
「そんなの聞いてない」
「今さっき言ったじゃん」
「……そうじゃなくて」
なんでこいつはこんなに適当なんだ。
男は知らないけど、女にとって結婚は特別なところがあるんだぞ。
プロポーズだってされてないし、こんな形で知りたくなかった。
もっとなんかいい雰囲気でプロポーズされたかったのに。
って、そうじゃなくて!!
「結婚は、できないよ」
「なんで?」
「なんでって……私は名家の出じゃないし……」
「関係ないでしょ、どこ出身だろうと」
「だって五条家だよ?御三家の一つだよ?もっといい家柄のお嬢さんと結婚した方が……」
「…………あのさ、僕の家の事とか心配しているならそんなの考えなくていいよ」
ぐっと息を飲んだ。
その様子を見た悟は軽く息を吐いた。
「急すぎたしね。少し僕とお話しようか」
そう言って、悟は再び私の腕を取って長い廊下をまた歩き出しとある一室へとお招きされた。