第12章 day9 the second 奪還 ホークス
ホークスside
無駄に広い部屋の中
大きなベッドの上でいまだ苦しそうに呼吸をするちゃんにあえて気付かないフリをしてポットでお湯を沸かす
適当に選んだ紅茶をソーサーに注ぐと
落ち着く茶葉の香りと白い湯気がふわふわと部屋の中に漂った
背中に感じる気配
相変わらず熱っぽい吐息
助けられた安堵感と
違う意味で助けられなかった不甲斐無さに心臓がきゅっと締め付けられる
聞きたい事は山程ある
公安からいずれ警察に連絡がいくと事情聴取も始まるだろうが
今は少しゆっくりさせてあげたくて紅茶に角砂糖を二つほど落としてテーブルへ置く
暫くすると
コンコンと控えめなノックの音が部屋に響いて
ホテルマンに扮した公安の職員が服を届けてくれる
綺麗に畳まれた服を横に置いて
肩にポンと手を置くとその刺激だけで身体がぴくんと反応する
『はぁっ‥はぁっ‥‥』
さらに熱っぽさが増す吐息
「紅茶と‥甘いもんでも食べて今はゆっくり休みましょ」
ルームサービスでも頼もうと立ち上がると熱い掌にパッと手首を掴まれる
「どーしました?」
肩にかけた俺のジャケットがはらりとズレて
目のやり場にこまって目を逸らす
『いか‥ないでっ‥‥』
うるりと潤んだ瞳で見上げられて心臓がどくりと跳ねる
「どこにも行かないから‥今はちょっと寝ます?」
ベッドの横に腰掛けると掴んだ手首をさらにグッと引き寄せられる
『身体‥奥まで‥あつくてっ‥‥‥助けて‥ください‥っ』
「ーっ!!」
近くなった距離にかけていたジャケットがぱさりと落ちて
白い素肌が露わになる
間近で見ると鮮明に浮かぶ赤い痕や噛みつかれたような痕が全身に残されていて
あまりに痛々しい
どれほど長い時間
この小さな身体で耐えていたのか
胸が張り裂けそうで
唇を噛み締めるとその上から熱い唇が重なった
「ちゃんっ‥」
突然の事に余裕なく掠れた声がでて情けなく名前を呼ぶと
もう一度唇が重なり合った
『はぁっ‥‥お願い‥しますっ‥‥ホークスさん‥っ』
熱を帯びた視線が絡み合う
「っ‥加減してあげられる自信なか‥」