第12章 day9 the second 奪還 ホークス
ホークスさんの腕に抱き抱えられると安堵や色んな気持ちでドッと疲れが押し寄せて
どうしようもなく重たくなった瞼がおちてくる
そして閉じた瞼に感じる柔らかな口付け
本当はちゃんと起きて戦いたかったけれど
体力も気力も限界を超えていたようでそのまま少し意識を失ってしまっていたみたい
『んっ‥‥』
外気に晒された素肌にかけられた上着がはたはたと風に靡いて
ふと目を覚ますと
ビルから外に出たのだと気付いた
「この格好のまま空を飛び回る訳にもいかないんで‥公安が所有してるホテルに寄りますね」
へらりといつものように微笑むと近くにあったホテルにさっと降り立った
表向きは一見普通のホテルだったけれど
私たちを見るなり何も聞かずに高層階の一室
sweetと書かれたお部屋へ案内してくれた
「どーです?なかなかいい部屋っすよね〜」
そっと私を大きなベッドの上へおろすと
背中を向けたままいつもの調子で優しく話しかけてくれる
服も着ていない
身体中にはたくさんの痕
死柄木
荼毘
ヴィラン連合のこと
きっと聞きたい事は山ほどあるはずなのに
「あったかい紅茶とか飲みます?」
などと言ってお湯を沸かしはじめる
ただでさえ苦しい身体
思考がいまだ乱れていて頭の中もぐちゃぐちゃだったから正直とてもありがたかった
しばらくすると
爽やかな茶葉の香りが漂ってきて
こぽこぽとソーサーに紅茶を注ぐ音が聞こえてくると
お部屋の扉をコンコンと軽くノックする音がした
「お召し物を」
少しだけ開いた扉からホークスさんが紙袋を受け取ってベッドの端へ置いてくれる
「とりあえず服着て、あったかいもの飲んで、一息つきましょう」
『〜っ』
そう言って肩にポンと手を置かれただけなのに
身体がぴくんと反応してしまう
さっきまで少し落ち着いたと思っていたのにあっという間に蘇る身体の熱に息も上がってくる
『はぁっ‥‥はぁっ‥』
大きく肩で息をするとせっかく掛けてくれた上着がずり落ちる
そういえば
私助かったのに
みんなに連絡していない
相澤先生と‥あと‥
あぁ‥‥思考が乱れる
身体が熱くて熱くてどうしようもない