第12章 day9 the second 奪還 ホークス
ホークスside
数時間前
雄英に到着してから
ヒーローやイレイザーヘッド、緑谷くんたちから目撃情報を聞いて
辺り一面を探し回っていた
それぞれのヒーローや警察達がヒーリングガールを捜索する中
突如見つけたビル
聞けばつい数日前から複数人
ヴィラン連合に酷似した連中が出入りしているとの事
公安の勘?とでも言おうか
ここに絶対ちゃんがいると確信して忍び込む
建て付けが悪いドアの隙間から物音を立てずに覗き込むと奴らの姿がみえた
眠っているような死柄木
迫る荼毘
そしてちゃんの姿
『や‥めて‥っ‥‥めいわく‥‥かけたく‥な‥いっ‥‥』
「お前が俺達の仲間になればなにも問題ない」
なんの会話をしているか分からないが
気付けば2人の前に飛び出していた
『ホー‥クス‥さんっ‥?!』
俺の顔をみて目をまんまるにするけど
呼吸は荒っぽく
顔は真っ赤に染まっていて
恐らく何か‥薬の類だと思われる
何も身につけていない
白い肌に残る無数の痛々しい痕
さっと身体を引き寄せて腕の中に抱き締めて
着ていたジャケットを羽織らせる
『は‥ぁっ‥ホークスさん‥ごめん‥なさい‥っ‥』
苦しそうに目を閉じた瞼に軽く口付けを落とす
「すぐ終わらせるんで寝てていいっすよ」
そう言うと少し安心したように目尻がふわりと下がる
怒りでこめかみに青筋が浮かぶ
荼毘を羽根で囲んで
冷静にいられるように笑顔を張り付けるのがやっとだった
そしてようやく気付く
荼毘の手の中にある見覚えのあるゴールドのネックレス
「‥ネックレス」
「あぁ‥これ?利用してやろうと思ったのに残念だったな」
迷惑かけたく無いと言ったちゃんの言葉の意味を理解してさらに怒りでおかしくなりそうだった
ポケットの中でひっきりなしに震える携帯
他のヒーローと連携をとる隙もない
腕の中では相変わらず苦しそうに小さく呼吸を繰り返すヒーリングガール
今は
ヴィラン確保より奪還
そして一刻も早い脱出が望まれる
一瞬の隙をついて入ってきた扉から飛び立った