【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第7章 ※本当の私
『…法律が改定されて、女の人も男の人も、結婚できるのは18才になってからになったんだよ…』
「あぁ、そうなのか…じゃ、まだ子供だな。
………沙良これ、言おうかどうしようか迷ったんだが…」
梅君はうなじに触れながら俯き、顔を上げて私を見た。
「この間梶に会った時…事情は聞いた。お前等の事…」
ドクン…
『え……?』
「ごめんな…梶がお前に本気だって聞いて、なんて言うか…
梶が沙良を守るなら、蓬莱の事は何とかしとなかなきゃな、って思ったんだ…それで蓬莱に会いに行った。」
話がうまく入ってこない。
こんなにも青空なのに、一気に曇りになったようだった。風がザワザワと鳴り、眉間に皺が寄っていくのがわかった。
「沙良…?」
『……うん…』
「…だから十亀のお陰で蓬莱の事が解決して…良かったな。
梶とは…何か話したか?」
『…………』
「…沙良大丈夫か?」
誰かと深い関係になるとは、そういう事なんだ。
梅くんだって思ってもみないだろう。
私が梶君への思いをわからないでいるなんて…
私達を見守ろうと、梅くんが動いてくれていたんだ。
『ちょっと…トイレに…』
震える足で後ずさると、一目散に扉を目指して走り出した。
「…っおい、沙良…」
当てもなく階段を降りると、何階かわからない廊下をフラフラと歩いた。
知られていた…
梅くんに…
視界がぼやけて前が見えない。
壁を伝って、ガクガクする足を必死に前に出す。
ドンっ…
『…っ……ごめんなさっ…』
「ぇ………沙良ちゃん…?」
目の前にいたのは
驚いた顔をした蘇枋君だった。
「沙良っ…ここは男子校だ。
一旦戻ってきてくれっ…職員用のトイレまで、ちゃんと案内するから…」
梅君の足音と大きな声が、だんだんと近づいてくる。
必死に足を動かすも、うまく進まない。
『…………』
「……沙良ちゃん、梅宮さんから逃げてるの?」
『…っ……』
涙が溢れる。
恥ずかしくて梅君の顔が見られない…なんて、蘇枋君に説明ができないと瞬時に悟り、声が詰まった。
「……こっち…来て。」
蘇枋君に手を引かれると、引きずられるように近くの教室に入った。