【WIND BREAKER】愛なんて知らなかった(R18)
第7章 ※本当の私
「成る程…では、十亀氏に随分救われたということだな…」
「…そんな偶然てあるんだね。」
水木さんと百瀬さんが言った。
「まぁ何にせよ、蓬莱がまた沙良ちゃんを襲う可能性は0に近いって事だ。良かったな…」
「十亀はさ、いつまで沙良の送迎すんの?」
焼きトマトをパクパクと食べながら椿さんが言った。
『今週までです…お父さんと話して、十亀さんにも話しました。』
「へぇー…十亀、納得したの?」
ニヤニヤと笑いながら質問する椿さん。
『それは…』
先程の条君の姿を思い出す。
『………』
「……あ、そうだ、沙良。明日ポトスに来られる?
衣装とメイク、髪型の打ち合わせしたいのよ。
誕生日会はもう、明後日なんだから。」
椿さんがウインクすると、晴竜さんが言った。
「沙良ちゃん、メイクとか髪型の希望はある?」
『特に…何が似合うのか全然わからないので…
お任せしてもいいですか?』
「オッケー、腕が鳴るよ。」
『あの…すみません…
色々時間を使ってもらって…私なんかのために…』
ビシッ
『痛っ…』
「はい、出た出た、沙良の悪い癖。
私なんか禁止って言ったでしょ。アタシ達はやりたいからやってるだけなの。だからアンタに悪いと思ってもらう必要なんて一切ないんだからね。」
『はい……』
杉下君は畑の水やりを終えたのか、姿が見えなくなっていた。
何の野菜があるのだろう…
「沙良、畑に興味あるの?梅に紹介してもらったら?」
『え……』
「よしきた!沙良見てくれよ。俺の夏野菜ちゃん達が可愛くてさぁ!」
梅君は私を畑に案内してくれた。
side 椿野
「何、気ぃ回してるんだ。」
柊が隣に立った。
「さっき…
私に綺麗だって言った時の沙良の表情見た?」
「表情…?」
「沙良はありのままで勿論可愛いし、綺麗よ。
けどあの子は今まで、あまり自分の外見に頓着ないっていうか…拘ってこなかった。
そんなあの子が、私にあんな事言うなんて…」
"椿さんは…いつも綺麗ですね…"
「あの子……恋してるのね。」
「どうすんだ…ライバル出現じゃねぇか。
いいのか?」
「ふっ…バカね。
恋する気持ちは、誰にも止められないのよ。」