第4章 6つのお題から自由に選択
「俺と一緒になれ。」
「死んでも、離さん。お前の全部……俺に寄越せ。」
愛の言葉は呪いのようで、逃げられない鎖のようで。
それでも胸の奥が満たされていく。
ある夜、直哉は七瀬の頬を両手で包み込み、耳元で甘く囁いた。
「……約束や。お前は一生、俺のもんや。」
次の瞬間、唇に熱が走り、首筋を鋭い痛みが裂いた。
血が滲み、畳に滴る。
だが痛みはすぐに甘さに変わり、震える身体は直哉を求めていた。
翌朝。
奥座敷の鏡には二人の影が寄り添い、微笑んでいた。
血に濡れた赤い指跡が、鏡の内側からべったりと残されて。
直哉は自分の妻の亡骸を一瞥して呟いた。
「アホな女………。」
そして今もなお、夜にその鏡を覗いた者は聞くという。
甘く狂った声で――
「次は、お前や。」