第4章 6つのお題から自由に選択
「ちょっと一緒に来てくれない?」
ちょっと一緒に……?
目隠しをした不審者はいかにもな路地裏を指差している。
自分がどこを指しているのか分かっているのだろうか。
「あの、これから仕事が……」
「ダメダメ、こっち優先。このまま仕事行ったら、誰か死ぬよ?」
「はぁ……?」
全くもって意味不明である。
でも……
“誰か死ぬ”という一言に一昨日の人身事故をなんとなく思い出してしまい、気づけば素直に指示に従っていた。
「君さ、変わった術式持ってるよね〜、そこらへんにいる呪霊を片っ端から吸い込んでグッチャグチャに丸めてんの」
……意味が分からない。
「あれ、もしかして術式の自覚ない?」
ジュツシキって何?
いきなり声をかけてきて、意味不明なことを言い始めた見知らぬ大男。
私の頭の中は不信感でいっぱいだ。
「お、お高い壺の押し売りとかならお断りですよ」
「別に壺なんて売りつけないよ。大体、そんなの呪いには効かないし」
呪いって何ーっ!?
いやいや、言葉としては知ってるけどさ、
物語とかファンタジーの世界のものでしょ!?
リアクションに困っていると、男はブフッと吹き出した。
「ま、いいや、今日のところは僕が祓っといてあげる」
手を翳されたと思ったら、心なしか疲労感が抜けた気がした。
「おぉ……」
「どう?」
「なんか眼精疲労が取れた気がします」
「えー、それだけ?もっとないの?」
「首の凝りも軽くなりましたかね?」
「疑問型じゃん」
それが自分で自分のことを最強と言っているイタいのか何なのかよく分からない五条さんとの出会い。