• テキストサイズ

合同リレー作品集【鬼滅・呪術・ヒロアカ・WB】

第4章 6つのお題から自由に選択








少し時を遡る。


『ただいまこの列車において、人身事故が発生しました。現在、確認のため停車しております。お急ぎのところ大変申し訳ございません』

車内アナウンスをぼーっと聞きながら思った。


最近、こういうことがよくある。

前は学生の夏休み明けの頃だった。

駅で電車を待っていたら、駅のホームから女子学生が線路に飛び込んだ。

その瞬間は見てなかったけれど、電車は止まったままだし、運転手が焦った様子で運転席から降りてきて、何かがあったことだけは分かった。

運転手と駅員が慌てて話し合っている中、突然、耳をつん裂くような悲鳴が聞こえた。
最初は反対側のホームにいた客の叫び声かと思ったが、そちら側のホームには誰もいない。


それは、撥ねられて電車の下にいる女子学生の悲鳴だった。

もともと電車がかなり減速していたから、助かったのだ。


おそらく飛び込んですぐは気絶していて、さっき起きたのだろう。
息の続く限り悲鳴を上げ、息を吸ってまた悲鳴を繰り返している。



その後、すぐに救急隊と警察が到着し、電車の下を確認する。

駅員はホームから出るように客を促していた。




「……頭部裂傷、左足首離断……」

私がホームから出るときに、救急隊員が女子学生の容体を伝えているのが聞こえた。


え、“離断”って足首から先がないってこと……?

そんなことを妙に冷静に思ったことを覚えている。



別の救急隊員が電車の連結部分の隙間に担架を差し込み、掴まるように言っているが、パニックになった女子学生は悲鳴を上げるばかりだった。



ホームにぽつりと残された私立校の指定鞄は飛び込んだ女子学生のものだろうか。


女子学生の救助のため、忙しなく人が動いている中、その鞄だけは世を儚んでいるように見えた。



/ 165ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp