第24章 Genesis3:9
その中の一枚に目が釘付けになった。
どこかで見たことのある顔…
「あっ…」
大野製作所の元総務部長だった人
母親の早稲田の先輩でサークルの主宰だった人
「國村…さん…?」
見間違えるはずがない。
何度も見た写真の國村さんと同じ横顔、同じ笑顔。
夜の暗い景色の中だけど、よく撮れている。
その画像の近くに、ホッチキスで軽く止めただけの数枚の書類があった。どうやら途中経過の報告書のようで、作りは簡素だった。
手に取って、表紙の文字を見た。
「櫻井…洋子氏の不貞行為と業務上横領に関する調査…?」
頭が混乱した。
一体、どういうことなんだ。
どうして國村さんと母親が会ってる?
不貞行為?横領?
智の顔が浮かんだ。
背中を冷たい汗が伝っていく。
もしかして…今、とんでもない物を見ているんじゃないか?
そう思って手が震えた。
ドアの方を見た。
誰も入ってくる気配がない。
震える指で、その簡易報告書のページを捲った。
そこには、信じられない事実が書いてあった。
國村氏が大野製作所に勤めていた頃から、母親とは不貞関係にあった。もしかしたらそれ以前から…関係は続いていたのかもしれないと書いてあった。
そして國村氏が大野製作所を退職後、会社を設立した際に多額の援助をしたいう事だった。
「その金の出どころが、桜井総合病院から横領された金である可能性…?」