第24章 Genesis3:9
「お…おまえは…」
父の顔が急激に赤くなり、激昂してるのがわかった。
ソファの肘掛けに置いてる手が怒りで震えている。
「恩というものを知らないのかっ…何が恥を知らないだっ…」
「ですから!」
言葉を続けようとした父親を遮って大きな声を出した。
怒鳴るような声は室内に響いた。
「あなたの稼いだ金には感謝していますよ。その”金”に、俺は育てられたと言ったでしょう?」
じっと見据えていると、みるみる父親の顔から血の気が引いていった。
しかし冷静になったわけではなさそうだった。
「…俺はこの病院では働くつもりはありません。この先…ずっと」
向かいに座る父親の呼吸が荒い。
胸が苦しいのか、ネクタイを緩めた。
「蘭くん」
突然秘書の名を呼ぶと、静かに前室に続くドアが開いた。
驚いた。
伊藤さんはこの部屋をモニタリングすることを許されているのか。
「…洋子を呼べ。俺の話は終わった」
「畏まりました」
伊藤さんはちらりと俺を見ると、にっこりと笑ってから軽く頭を下げた。そのまま静かにまたドアを開いて出ていった。
父親は立ち上がると、俺と潤を一瞥した。
「…TJ病院にはおまえのことを頼んでおく。俺の話は以上だ。後はおまえの母親が話があるとか言ってるから…」