第24章 Genesis3:9
「知らないとでも思ってたんですか?随分ご自分の子供のことを舐めていますよね」
「翔…おまえ…」
「知ってましたよ、小学生の頃から。おそらく舞も修も知ってる」
何が父親だ。何が母親だ。揃いも揃ってどうしようもない。
「おまえが言ったのか!?」
「今の話をどう取ったらそうなるのか不思議です。ご自分のやったことにちゃんと目を向けてください。他責思考は身を滅ぼしますよ」
自分は悪くない
悪いのは他の誰かのせいだ
そう思っている限り、桜井総合病院の行く末は暗いものになってしまうだろう。
現にこれだけ建物が老朽化しているのに、改築の予定もない。
多分、経営に行き詰まっているんだろう。
この人に経営の才がないのは、学生の頃から理解していた。
だから大学でも教養過程で経営に関しても少しは勉強はしていた。
なにかあったときの助けになればと……
だが今の俺は助けようとなんて微塵も思えなかった。
「…自分を見捨てた人を…見捨てて何が悪いんです?」
「え…?」
「俺は幼少期にあなたや母さんに見捨てられた。現にこの半年、あなた方は一度しか俺を尋ねてこなかった」
「そ、それは…」
「どうして、それなのに父親面ができるんです?あまつさえ被害者面まで…。俺にはそれが不思議でなりません。恥を知らないのかと」