第24章 Genesis3:9
舞はこれから保育園に子供の迎えがあるということで、散々俺の心配をしたあと足早に病院を後にした。
俺と潤はそれを父親のような目で見送ってしまった。
幼い頃からのことが鮮やかに思い出された。
「…女ってのは、親になるとああも変わるもんかね?まるで翔のお母さん…いや言い過ぎか。姉ちゃんみたいだったな」
潤がぼりぼりと顎を掻きながら言う。
「子供を自分の身体の中で10ヶ月も育てるぶん、俺達みたいなただ精子を外に出すだけの男よりも早く大人になるのかねえ…」
「ふ…パートナー以外にも発情するしな」
そう俺が言うと、潤は苦笑いした。
「この年になって思うんだけどさ、なんか男って情けないよな」
去り際、舞は13歳年下の弟の修について教えてくれた。
今年は高等部に上がる年で、好きなラグビーの部活に夢中になっているそうだ。
あの調子だと、大学に上がって医学部に行かずにラグビーを続けそうだと舞は苦笑いをした。
本当は修ももっと俺の見舞いに来たかったそうだが、母が……
きつくそれを戒めていたそうだ。
その気持はわからないでもない。
舞は知らないから、そこは理解できなかったんだろう。
本当に母に対して怒っていた。
でもそれは仕方のないことだと思う。
頭では、理解できる。
「…強く、なったんだな。舞ちゃん…」
「うん…そう思う」
俺も、強くならないといけない。
こんなことで心が折れないよう
こんなことでくじけないよう
智の側にずっと居られるよう
ぐっと唇を噛むと、腹に力を入れた。
「さあ、行こうか」