第24章 Genesis3:9
「翔のお母さんに國村さんのことって聞けないかな?」
「そうだなあ…」
「あ、でも当時付き合ってたとかなら気まずいな」
そう言って潤は、いたずらっぽく笑った。
「やめろよもう…」
笑いながらも、なんか微妙な気分になった。
俺が中学に上がる頃には、父と母はお互いに愛人を作っていた。
でも俺はその愛人たちには会ったことがなかったから、あまり具体的な想像をしたことがなかったんだが…
コピーの中で笑っている國村さんは、とてもいい男で溌溂としているように見えた。目がとても印象的で、男から見てもゾクッとするような魅力を湛えている。多分当時はモテたんだろう。
「…なんでもいいから、もし聞けそうだったら聞いといて欲しいんだ」
「わかった」
しばらく潤は無言で缶コーヒーを見ていたが、ふと顔を上げて俺を見た。
「…その、さ」
「ん?」
「國村さんなんだけど…」
そう言うと、目を逸らした。
「うん…?」
言い辛そうに潤はまた缶コーヒーを見つめている。
「もしかして、大野製作所の金の流れ…その人が握ってるかもしれない」
「え…?」
潤は缶コーヒーをホルダーに置くと、ボイスレコーダーを取り出した。
「國村さんの古い知人から話を聞くことができたんだ…」
そのレコーダーを再生すると、意外な話が出てきた。
國村さんが大野製作所を辞めたあと、会社を立ち上げたというのだ。