第24章 Genesis3:9
外に出ると、来たときよりも冷えていた。
そういえば天気予報で、午後から寒気が南下して日本海側では大雪になると言っていた。その寒波が東京まで来るらしい。
「さっぶ!!早く車戻ろうぜ」
マフラーを鼻まで引き上げて、潤は小走りに歩き出した。昔から寒がりで、今日はカシミアのコートだが普段の取材のときはベンチコートを愛用しているほどだ。
「ああ。早く戻ろう」
そう返事をして歩き出したのに、空をまた鳥が飛んでいるのが目に入った。
今度は黒く大きな鳥で。
カラスにも似てたけど、なんの鳥かはわからなかった。
「翔?どうしたんだよ」
「あ、ごめん…」
灰色の空は鳥の姿をいつまでも映して、雲が低く垂れ込めていた。
「ふーーー!寒かったああ。エンジン温まるまで少し待ってな!」
「ああ」
あまりの寒さに、途中の自販機で温かいコーヒーを買った。
それを掌で転がしながら、エンジンが温まるのを待った。
「あ、そうだ。ちょうどよかった…あのさ、大野智のことなんだけどさ…」
「えっ!?」
不意に智の名前を聞いてしまって、驚いて大きな声が出てしまった。
「な、なんだよ?」
「い、いや…なんでもない。智がどうしたって?」