第24章 Genesis3:9
職員出入り口まで、両先生は見送ってくれた。
自動ドアのところまで行くと、三宅先生はこれから手術が入ってるということで、慌てて患者さんが待機している病棟へ走っていった。
「おい!三宅、走ってるんじゃねえぞ!」
「見逃して、井ノ原先生!じゃあな、櫻井!」
「はい!ありがとうございました!」
走り去る背中を見ていたら、背後で自動ドアが開いた。
2月の冷たい空気に、思わず身体をすくめた。
入ってきた職員に道を開けるため端によったら、井ノ原先生がピッタリ俺のすぐ隣に立った。
「…井ノ原先生…?」
「あのな…本当は部長に釘、刺されてたんだけど…」
言い辛そうに頭をポリポリと掻いた。
「部長からは、桜井総合病院で復帰するよう説得しろって言われてたんだよ」
「えっ…」
「おまえのお父さん、部長の先輩なんだろ?」
「はい…」
「部長的には櫻井に戻って欲しいみたいだったけど、圧力かかってしまってな。だからまあ、今日のことは許してやってよ」
部長がろくに話もしないで出ていってしまったことを、井ノ原先生は気にしているようだった。
「そ、そんな…俺が復職をお願いする立場ですから、許すも許さないも…」
「俺が、櫻井は必要な人材ですってちゃんと言っておいたから。だから安心して療養して、そんで戻ってこい」
「…はいっ」
井ノ原先生も、部長と板挟みになって苦しいはずなのに。
俺にそういうところ一切見せないで…
一層、早く身体を戻して職場に戻りたいって気持ちが膨らんだ。