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【鋼の錬金術師】紅の幻影

第14章 鋼の錬金術師








「見たんだろう?」

金色の瞳を揺らし、冷や汗を流すエドワードくん。
イズミさんに隠し事も誤魔化しも意味をなさないのは彼自身が一番知っている。

拳を強く握り締め唇を噛みしめるエドワードくんは小さく「見ました」と。

「さすがはその年で国家資格を取る程の天才……って事か」
「天才なんかじゃありません。オレは"あれ"を見たから……。師匠は………!!」

その時、イズミさんを呼ぶ子供たちの声が響いた。
どうやら、壊れた汽車を直してほしいとのことらしかった。
錬金術で簡単に直してもらえると思った子供たちだったが、実際イズミさんは工具で修理していく。

イズミさん曰く、なんでも錬金術に頼らないの。自分の手で直せる物は直すとのことらしい。
出来上がった汽車をみて子供たちは「かっこわるい」と文句を垂れるが、最後は嬉しそうに笑っていた。
バイバイと手を振って見送っていると「イズミせんせー」とまた彼女を呼ぶ少女の声が。

「チコが動かないの。直してよ……」

少女の腕の中に抱かれている一匹のネコは硬く目を閉じピクリとも動かない。

「こわれちゃったの?」
「ううん、ちがうよ。死んでしまったの」

死んでしまっていることは明白だが、「死」を理解できない子にとっては直せばまた動くと思うのは当然のことで……。

「せんせい。チコを直してよ」
「それはできないよ」
「だってイズミせんせいはなんでも作れるんでしょ?チコだって……」

今までイズミさんはそうしてきたのだろう。
いや、錬金術師はそう思われてきたのかもしれない。
実際は等価交換という法則があり、とても複雑なものだ。
だから錬金術を知らない人は一度は考える。
錬金術はなんでも作れる万能なものだ、と。





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