第14章 鋼の錬金術師
「メニィ。命は物とちがうし私は神サマじゃない。チコにもメニィも同じ"命"。チコは命が止まってしまってもう戻らない」
「………わかんないよ。だって……、きのうまで………」
幼い子供に命の重さや死を教えることはとても難しいけど、この子は今大切なことをイズミさんから教わっている。
目を逸らしたくなる現実かもしれない。
受け入れられない現実かもしれない。
大人でも拒絶する人がいるのに。
亡くなってしまった愛猫のためにお墓を作り、綺麗な咲いていた花を添えると、ちょうど少女の母親が迎えにきた。
イズミさんと一言二言会話を交わすと、母親は少女を抱き上げ家へと帰っていく。
その後ろ姿を見送ったあと、イズミさんは静かに言った。
生きていれば、いつか命は尽きて肉体は土へ還りその上に草花を咲かせる。
魂は"想い"という糧になり周りの人々の心に生き続ける。
世のあらゆる物は流れ、循環している。
人の命もまた然り、と。
「……自分ではこんなにもわかりきっているのにな。未だに子供に死を納得させるのはむずかしい」
「……師匠は命を……、死んだ人を生き返らせたいと思った事はありますか?」
「あるよ」
エドワードくんの問いにイズミさんは即答した。
死んだ人間を生き返らせたいと人間だれしも必ず一度や二度は思ったことがあるだろう。
しかし、蘇らせようとしてそれを実行した人間はほぼいないだろう。
この場にいる私たちをのぞいて。