第8章 スティング 「貴方は貴方」
お医者さん、お母さん、お父さん。
私もうこの人生終わらせていいかな。
心の中で聞きながら目をつぶると、
「白竜の咆哮!!」
と白い咆哮が飛んでくる。
女の人に命中して今度こそ彼女は倒れた。
が、この魔法は……。咄嗟に地面に情けなく丸まる。さっきまで戦っていたから痣も、角も、何もかも残ったままなのに。
「おい!薬!!」
そう言って走ってくる音。強引に体を起こされるが残りの力で顔を腕で覆った。そんな私の背中に手を回してスティング君は怒った。
「何してんすか!薬飲まないと!!」
「…っ、見ないで」
首を横に振っているとスティング君はじれったい様な、そんな声色で。
「〜っ!わかったすよ!俺絶対見ないんでこれ飲んで!」
水と薬を私に握らせてそっぽを向くスティング君。スティング君の冷たい指が私の熱い手に当たった。
ーーー
何とか薬を飲んだ。後ろを向いたままのスティング君はそれが分かったのか安心したように言った。
「俺、見てたっすよ。全部」
そう言われて冷や汗が止まらなくなった。
「…っ、お願い。剣咬の虎から追い出さないで…!ギルドの皆には近づかないようにするから」
心臓がバクバクしてうるさい。スティング君はそんな私の腕を掴んで呆れたように引き寄せて。
「俺が出ていかせませんよ。...なんか引け目感じてるんでしょうけどカナタさんはカナタさんなんすから。アンタも俺の家族なんです」
ナツさんの言葉借りちゃった、と嬉しそうに笑う彼。怖がるでもなく何故か笑っているスティング君を見て気が抜けた私も笑ってしまった。