第8章 スティング 「貴方は貴方」
あれから私は剣咬の虎に来て、ポーリュシカさんと言う謎のお医者さん?に出会った。
ポーリュシカさんは私の赤と黒の半身を見ても気味悪がらずに研究をして私の体から周りを巻き込む毒素を取る薬と進行を遅らせてくれる薬を開発してくれた。
外見の事も気にしてくれて痣も治してくれた。
でも進行が止まったわけじゃない私はいつか醜い悪魔に変わる。今まで出会ったお医者さんの中で1番の腕のポーリュシカさんでも治せないのならもうどうにもならないことは分かっている。
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ゆっくり思い出しながら列車の外を見た。もう着く頃かな。私は座席から立ち上がって停車した列車から降りた。
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任務は闇ギルドの討伐。
標的の闇ギルドの目の前に来て私は魔力を解放して。フーッと息を吐くと体中が熱くなっていく。
右半身には鋭い爪が、角が、尻尾が、牙が生えてくる。私の右目はただ真っ黒に染まって顔は溶けたように醜くなっていく。
ただ手を振り下げただけでギルドに炎柱がたった。そこから広がっていく火の海の中へ私は走った。
抵抗する闇ギルドの人達に慈悲も与えず倒していく。それこそ悪魔のように。もう意識がない人を何度も何度も殴って焼いて。
戦っている時の私は私じゃない。それをいつも、遠くから見ているようなそんな感覚だった。
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闇ギルドを崩壊させ、私は一人何も無くなった焼け野原の炭の中で立っている。
「化け物…か」
さっきの闇ギルドの人たちの最期の言葉。あんな巨体が怯えるように私の下にいた。慣れたいけど何度言われても傷ついてしまう。
「闇ギルドのお前らに言われたくねー」
とスティング君の口調を真似てみる。柄にもなく今日はなんだか落ち込む日だ。
「はは、似てなー…」
顔を伏せて笑っていると急に心臓がドクンッと脈打った。途端に汗が止まらなくなって頭がクラクラし始める。
「あ、れ?もうそんな時間…だっけ」
昔からのあの酷い熱が来る時間になったらしい。鞄を漁るが無い。しまった。薬を忘れた。
立っていられなくなって膝まづくと後ろから叫び声が。
「死ね、化け物…!!」
ハッと後ろを振り返ると火傷まみれの女の人が確実な殺意を持って剣を向けて走ってくる。
立たなきゃ。そう思うのに立てない。手に力を入れるがそれも虚しく。ぐにゃ。私はうつ伏せに倒れた。
